魚介類と明るい男


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この地方の日差しは不思議と明るい気分になる。
イタリアを訪れたときに
買うつもりはないのに市場を歩いた。
いわしと思われる小魚を覗き込むと
背が低く頬にてかりのある男と
背が高くちぢれ毛のやせた男が
俺の店があるからそこで調理してくれるようなことを言った。

ここに来てお気に入りの店もまだないということ
若干開放的な気分になっていたせいで
案内してくれるように目で促すと
頬にてかりのあるほうの男がこっちへこいと
首で合図を送ってきた。

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店は白壁で穴の開いたところが入り口
入り口をくぐると明るい庭があって
その奥に若干薄暗い客席があった。
4人がけで40席ぐらいのちょうどよい広さで
客席ばかりをあつめた観光地の半屋外のテラスとはちがった。

男たちは客席の奥の厨房へ私を案内し
長身の鼻の高く若い料理人に小魚を調理しろと言った。

背の小さなてかりが俺の舎弟だといったようなことを言っていたが
若い料理人をよく見ると端正な顔立ちをしていたので
私はすっかり見とれてしまって
言葉も半分しか頭にはいらない。



若い料理人は私を品定めするように見た後
肩をすくめながら出来ないこともないと言った。
手際よくピザ生地の上に魚を乗せ
チーズやバジルオリーブを載せて釜に入れると
会話もろくにしないうちに釜からピザをとりだす。
チーズがポコポコと動くぐらいの熱さ


目を大きく開いて
召し上がれという合図をくれたので
目でありがとうを言ってピザをほおばった。

そのピザがチーズではないおいしい味がしたのは
青空の下で育ったトマトのしずくのせいだろう。


こんなにおいしいピザをご馳走してくれたのだから
この料理人が口説いてきたら相手をしてもよいかなと
思うか思わないかのところで
奥から若い奥さんと思われる女性の声が聞こえた。


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明るい日差しと海は
イタリアの明るく奔放な男を育む
女性を口説くのがイタリアのルールと言っても
どこからが女性でどこからが女性でないかはあるようで
あのまま何もなければ、きっと口説かれていただろうから
私も捨てたものではないとおもうべきでしょうか。
妻があるのに口説いてくるなんてとはき捨てるか。


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底が抜けるような青い空と海を見ていれば
そんなことはどうでもよい。
そう思える。
悩みを抱えた鉛色の日本海を見て育った私には
目を薄目にしなければならないほど日差しが強すぎた。


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